データを復旧しなければいけない状態になってしまった場合、ご自分で市販のデータ復旧ソフトを使用しデータの救出を試みることがあると思います。
データ復旧ソフトでもデータを復旧することができますが、正しく使用しなければデータ復旧率が下がり大切なデータを失ってしまうことになります。
データ復旧に関する正しい知識とデータ復旧ソフトの正しい使用方法を理解することがデータ復旧の成功のカギとなります。
このページでは市販のデータ復旧ソフトを使ってデータ復旧を試みる場合に気をつける点についてお話します。

市販のデータ復旧ソフトの使用を勧めない理由とは

データ復旧業者の多くが「市販のデータ復旧ソフトを使用しないでください」と注意を促していますが、これには理由があります。
ほぼ全ての市販のデータ復旧ソフトは「軽度論理障害」の状態に対してデータ復旧するために作られています。
もし重度の論理障害や物理障害が発生している状態で使用した場合、大幅にデータ復旧の成功率が下がる傾向にあります。

これは市販のソフトは専門的な知識を持たない方でも使いやすいように記憶媒体の種類や状態に合わせた複雑な項目は省略し、できるだけ簡単に半自動的にデータを復旧することを目的としており、記憶媒体が正常に動作し、重度のデータトラブルが発生していないことを前提として作られているためです。

軽度の論理障害、例えばデータをうっかり消去してしまったなどであれば、市販のデータ復旧ソフトを使用することでデータを取り戻すことができる可能性がありますが、障害の状態を正しく見極めずに使用すると返ってデータ復旧が困難になってしまう場合がありますので、注意が必要です。

市販のデータ復旧ソフトが悪いのではなく、使用方法によっては状態を悪化させてしまうことがあるため、むやみに使用しないように注意を呼びかけているのです。

市販のデータ復旧ソフトはデータが復旧できなくても料金は返ってこない

市販のデータ復旧ソフトはデータが復旧できなくても料金は返ってこない
市販のデータ復旧ソフトでデータ復旧を試みた場合、もしデータを救出できなかったとしても料金は返ってきません。現在、データ復旧できない場合の返金保証をしているソフトメーカーはありません。
しかし、無料体験版の提供をしているメーカーがほとんどです。
無料体験版では、ソフトの機能を確認したり、うっかり消してしまったデータがソフト上から認識することができるかどうかなどを確認することができます。
ただし、体験版の状態では実際にデータを復旧することはできませんので、データを復旧することができるようであれば製品版に切り替えることでデータを取り戻すことができます。

データ復旧ソフトはデータを復旧したいパソコンにはインストールしない

市販のデータ復旧ソフトの使用を勧めない理由の1つがここにあります。
一般の方が市販のデータ復旧ソフトを購入し、データ復旧作業を実行する場合、ほぼ全員の方が復旧ソフトをデータを復旧したいパソコンへインストールされます。
この行為がデータ復旧率を下げる要因の1つなのです。

仮に間違ってデータを消去してしまった場合、そのデータがあった領域に何もデータの書き込みがなければデータを復旧できる確率は高いですが、何かしらのデータを書き込んでしまうと復旧率が大幅に下がってしまいます。
データ復旧ソフトをインストールすることで、復旧したいデータのあった領域にデータ復旧ソフトのプログラムが書き込まれてしまうとデータ復旧ができなくなってしまいます。
地面に落ちたコンタクトレンズを探している時に誤って踏みつけてしまうようなものです。

理想の復旧方法はデータを復旧したいパソコンのハードディスクのクローンを作成し、クローンのディスクに対して別のパソコンにインストールしたパソコンからデータの復旧を試みるという方法が最もデータ復旧率を上げることができます。

ハードディスクの故障の可能性がある場合は使用しない

ハードディスクだけではありませんが、記憶媒体に何かしらのトラブルが発生している場合は使用することはおすすめできません。
製品によっては「不調なハードディスクからデータを復元」と謳っている製品もありますが、実際にデータを「ある程度」復旧できる可能性はありますが、非常に危険です。
調子の悪いハードディスクを使用し続けること自体おすすめできませんし、何よりデータ復旧ソフトはハードディスクの隅々までアクセスをしますので、ハードディスクに対して非常に大きな負担がかかります。
復旧作業中にハードディスクの状態がどんどん悪化していき、データ復旧業者でも復旧に困難を極める状態になってしまいます。

どのような症状に対して有効であるかよく確認する

データ復旧ソフトも様々な種類があります。
消してしまったデータに対して有効なソフトや、認識しなくなったハードディスクやSDカードに対して有効なソフトなど、いろいろなバリエーションがあります。
そしてその症状の程度についてもよく確認する必要があります。
データを消してしまった場合、そのあとデータの書き込みなどをすると復旧することができないソフトもありますので注意が必要です。

データ復旧ソフトを使用する場合は、注意点をよく確認していただき、慎重にすすめていきましょう。
もし、しっかりと理解している自信がなければデータ復旧業者への依頼をされることをおすすめします。